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今年10月8日に大相撲の伊豆稲取場所巡業が決定していますが、なんと数十年ぶりの興行だそうですね。首を長くして待っている人も多いことでしょう。

ところで、稲取に巡業に来た大相撲は一度や二度ではないと聞けば、私どものように他所から移住してきた者にとって少し奇異な感じがしないでもありません。

この秋に米寿を迎えるある人によれば、彼の小学校時代には毎年稲取で巡業があったといいます。親戚の船主が興行元になって稲取に呼んだときのこと、大横綱だった玉錦が書いてくれた朱印状を見せてもらったことがありました。なんて書いてあったか忘れたが、見事な筆跡だったのを今でも忘れられない、と言ってました。

またある人によれば母親の実家が興行主で、そのお宅でお相撲さんが着替えをしたそうです。土俵は向井の波打ち際で、突堤とブトナンヤとの間だったということです。これは玉錦が来たときと同じ土俵で、別のある人からも同じ証言をもらっています。

伊豆稲取は、今や伝説になっている田村又吉村長の在任前後に模範村として全国にその名を知られたほど最も隆盛を極めた時代だったということですが、そういう時代背景があって我も我もと富裕な興行主が出現したということでしょうか。